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医療コラム
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当院が開業して約11ヶ月が経過します。基本的に救急車は来院しないため(消防庁のルールで入院不要と判断した1次救急選定の患者さんも2次救急に搬送される)脳卒中の急性期患者さんは少ないのですが、今までに6名ほどの急性期脳梗塞の患者さんを診断しました。
開業当初の3ヶ月は入院施設をあたり、いろいろと労力を使ってなんとか転送入院としました。しかし、大病院は受け入れに手間がかかるだけでなく、苦労して入院させた患者さんの経過報告もなく、退院後も当院に逆紹介されることはありません。自分自身が病院勤務だった頃を思い返して、今更ながら反省しています。
脳卒中の患者さんは後遺症が残ったり、リハビリテーションを要したりで、在宅復帰できないことも多いため、紹介元へ戻さない文化があるようです。また、昨今の大病院はどこも経営難なので、退院後の患者さんを自院の外来で経過観察することも多いようです。
当院は脳神経外科専門医が常駐し、MRI撮影が随時可能なクリニックなので、退院後や術後の患者さんフォローも可能です。実はこのような脳神経外科クリニックは山手線の内側には少なく、術後や退院後の患者さんをフォローしますよ、と言ってもピンとこないのかもしれません。
最近は急性期脳卒中を認めてもADLが自立している場合、ご本人やご家族と相談の上で外来経過観察をしています。もちろん、万が一の場合はアドバイスできるように、私が常に対応できるクリニックの公式LINEを案内しています。そして、ほとんどの患者さんは外来フォローを希望されます。
外来フォローするにしても、受診当日に一通りの血液検査、胸部レントゲンや心電図など、入院時検査に準じた内容はチェックします。なんでも院内で当日検査できる強みがここで発揮されます。脳梗塞の場合は頭頚部の血管や動脈硬化を評価して、7日間の心電図で発作性心房細動などもチェックします。
心エコーは知り合いの循環器クリニックで診てもらい、脳血管撮影が必要な場合は私が出入りしている病院で実施します。先日は1名バイパス手術も実施しました。血圧は1ヶ月かけて徐々に降圧し、生活習慣病のチェックと治療を始めます。今のところ、特に問題なく軽症で新規の脳梗塞患者さんは外来フォローできています。
軽症でも脳梗塞は何でもかんでも入院させて、脳卒中としてSCUで2週間加算を取って、回復期リハビリテーション病院へすぐ転院し、回復期リハビリテーション病院の在宅復帰率向上にも貢献する、という医療費の無駄は無くした方が良いのかもしれません。ということで、軽症な急性期脳梗塞のフォローも当院では可能です。