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医療コラム
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先日、肥満症の治療薬「ウゴービ」の勉強会に行ってきました。東京タワーの近くの会場で120人現地、Webでも100人近くの参加があったようです。以前より美容業界で「マンジャロ」という痩せ薬が流行っていましたが、多少の作用機序が違うとはいえ同じ薬です。保険適応外の自費使用が問題となっています。糖尿病の治療薬として使うべき注射が美容業界に流れて在庫が枯渇していると。。。
薬には相性があるので全ての人にマッチするとは思いませんが、患者さんの感想を総合すると「もともと減量したいと思っていて、食事療法や運動療法もするモチベーションはあるが、ストレスやメンタルな弱さでつい食べてしまう」というような食べる欲求も健康志向も共に高い人には良さそうです。沢山食べなくても食欲を満たしてくれるとのこと。
上記はメーカーが出している投与基準を示すフローチャートです。そして、保険適応の基準はそれなりの規模の病院で管理栄養士など交えてこまめに指導をすることが要件です。多くのクリニックでは保険適応基準を満たさないため、自由診療としてしか「ウゴービ」の使用はできません。注意すべきは、自由診療で薬を使う場合は関連する診察、検査や合併症治療も全て自費になることです。
当院では脳卒中予防の観点から生活習慣病の治療には力を入れています。そして、1月から当院でもこの「ウゴービ」は冷蔵庫に用意してありますが、まだ2名にしか使用していません。その理由は私の基準でGLP-1の適応に達していないからです。その日の採血結果をその日に説明し、正しい生活習慣、食事や運動のアドバイスをして、必要な人には内服薬を処方して、それで十分だと思います。
とはいえ、何らかの病気や筋骨格系の問題で早急に体重を減らした方がいい方、メンタルな問題を抱えていてなかなか食事と運動で減量ができない方など、私独自のフローチャートで「ウゴービ」は導入していくかもしれません。自由診療ですから基準も自由だと私は思いますが、きちんと目的意識を持った人で、他に方法がない人にしか私はGLP-1を使用しないと思います。
医療保険制度が崩壊していく中で、自由診療にシフトしていくクリニックは沢山あります。ある意味正しい流れだと思いますが、医療を提供する側と医療を受ける側ともに、自由診療の場合は各々の責任で実施(契約)していく意識が必要です。「診断基準を満たした適正使用で自由診療をする」なんて意味不明ですね、薬剤メーカーは薬を沢山売りたい、医療機関は自由診療で稼ぎたいというのが本音です。
当院では、アスリートの私と食事や運動の話をして、食欲が抑えられない悩みを打ち明け、自分の体重とBMIを明らかにして、他の選択肢がない場合には自由診療として肥満症の治療を開始できます。そして、連携施設では肥満症の手術までしていますので、高度肥満の方もご相談いただければ、MRIで脂肪肝や内臓脂肪をチェックして、最適な方法をご案内いたします。
「医療ダイエット」という言葉は良い言葉ではありません。肥満症の治療はダイエットとは似て非なるものですから注意してください。